1992年11月1日 佐々木ゼミ14期生 福田まこと

なかなか笑わん九州男児を笑わせる
ちゃんと仕事もしています@近畿大学産業理工学部、飯塚

 近畿大学学生組合組織の広報の仕事を、10年程お手伝いしたことがある。近畿大学は九州、広島、豊岡、和歌山、三重、奈良と西日本各地にあり、その中のひとつ九州飯塚や福利厚生施設のある湯布院へ何度も足を運んだ。その度に、ますます九州が好きになった。


 親父の船が北九州門司の港に停泊するたびに、なんども訪れ数週間を過ごした思い出がある。1960年代の九州の印象は、なんといっても食べ物が豊富で美味しいということだった。魚は美味しい、関西で食べられない魚もある。それに阿蘇山に育つ牛肉も美味しい、地鶏も美味い。温泉熱で蒸した地鶏なんて、食べさせてもらったとき、ほんまトリ?っておもた。馬の薫製肉も、カラスミもええなぁ。

 
  子どもごころにも物価の違いも感じた、当時長浜ラーメンは1パイ百円くらいで、替えだま(麺)が数十円だった。先日ヤフードームの帰りわが子を連れて、長浜で食べたら500円で、替え玉 が80円だった。それでも安いけれど。


 親父にはじめて寿司屋に連れて行ってもらったのも北九州戸畑の寿司屋だった。いやそうでないかも知れないが、子どもごころにそう信じているのである。それほどおいしかった。いまでも、あの美味い寿司以上のすしはない、と思っている。


  寿司とともに北九州でぼた山に似ているおおぶりの栗饅頭がおなかにまだ残っている。あれくらい美味しい栗饅頭はいまだかって食べたことはないええ味なのだ。


 北九州の子どもの頃の思いでは、寿司と栗饅頭なのだ。それほど子どもの頃の食の文化は大切だということだ。へんなツナギで混ぜ合わせたようなやわい食べモンばかりだと、きっと味なんてわからなくなるのだろう。


  九州へ何度か足を運ぶうちに、ただ飯塚と神戸を往復するのはもったいない、と前後に休みをとって九州を満喫しようと。九州福岡には、うまいことに同期の高須くんと中井千恵ちゃんが居る。しかし、千恵ちゃんは居なかった。あぁやはり千恵ちゃん逃げたか、と思いながら言いだせなかった。


 高須くんのおごりで天神で美味い寿司をごちそうになった。「千恵ちゃんついに出て行った?」「ちゃうちゃう、出来てん」「えぇ、ちぇちゃん男つくって、出て行ってもた」「ちゃうちゃう」「お前が女つくれるわけ無いし、ついに愛想つかされた」 「ちゃうねんって、子どもできた」「なんで」「そんなこと言うぅんかぁ」「ちゃうって」「そうか」  


 博多祇園山笠の展示を観ながら、「あぁ心配した。」と。実は彼に「話し聞いて」と、阪神デパート屋上のビヤガーデンに誘われて、今回と同じように驚かされたことがある



「別れたんや」「千恵ちゃんみたいにええ子と別れてどうすんの?」「そんなん言うたかて、別 れたんや」「それって別れたというよりお前が結婚しよ、って言わんから愛想つかされたんちゃうぅん」しかし、その数年後ふたりはめでたく結婚した。何度もひとさわがせな、高須くんである。


「高須の翔ちゃん、ションベンたれるよ。かぁちゃんおこるよ、いえぃ」そんな歌をうたうカワイイわが子を見に来いと、高須くんが言うものだから福岡でのお宿は高須家となった。

  92年2月の取材と打ち合わせで福岡を訪れた。飛梅を観に行こうと、高須一家と太宰府天満宮へ。梅が枝餅を食べながら「秋に、モデル撮影を飯塚でせなあかんから、奥村さんと来るよ。以前連れてってもらった河太郎でいかそうめん食べよ」「それなら、本家ほんもとに行こう。」これが「いか行こツアー」のことの起こりだ。

  九州でいかそうめんと言えば「河太郎」は有名なお店だ。いかそうめんは各地で名物料理になっているので、他にもお店はあるが、やはりここがいい。食べ物というのは素材の良さもさることながら、その土地の雰囲気やだれとどんな時に行ったか、なんて事も重要な要因だ。親しい人と食べたものは、なんでも美味しいのだが。


「呼子が呼んでいる」と言い張る岳士くんのいつものダジャレを聞き流し、佐賀県唐津の呼子港をめざす。港であがった新鮮なイカ、きらきら輝いている。私は各地の港を巡っていて、なんで港のちかくには美味いもんがあるのだろうと思う。ただ今ではインターネットのそれが全世界に発信されているので、各地で地元の人だけだったお店がなんで、と言う状況になっているのも事実のようだ。観光地化すると、まずゴミが増える、違法駐車も増える、住んでる人間はたまらない。「イカんなぁ」と。

  驚いたのはちいちゃいしょうちゃんが、イカを前に美味しそうな顔をすることだ。ええもん食べさせてもろて、おおきなりや。おおきなっても、しょうちゃんやけんどな。唐津を旅した一日はええ日やった。92年11月1日、良い休日。ちなみに河豚の美味しい季節でもあったんで「ふくなべ」は 高須くんちでいただいた、ごちそうさま。


 _佐々木ゼミ14期福田まこと

 
 

 


「なんやろ?」
あれなんやろって見上げてごらん、唐津の空を

風車です

唐津の町を散歩

呼子港で


佐賀県唐津呼子港、河太郎さん


河太郎さんいかそうめんを前にV






高須家にてふくナベです



 
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