「集団力学と私3」関西学院大学佐々木薫教授最終講義2003.1.22

2003.1.22(wed)関西学院大学第2時限10:50-12:20、B204号教室で
1234567集合写 真8
 
 









 もうひとつは集団決定法。グループデシジョン、グループで話し合って決議して決定すると意味するように思われますが、実際はそうでなくて、グループという場でみんなが各事柄を実行するかしないかを自己決定する。アメリカも太平洋戦争、第二次世界大戦ですが、それが予想外に長引きゆくゆくは食料が不足するのではないかと・・


  将来のことを考えて今まで食べていなかった牛の臓物を食べましょうと言うようなことを。それでどうしたら食べてもらえるかと。一般 的には、料理の先生方がこうしたら美味しく食べられますよといったことをデモンストレーションすることで消費を促すのですが。


 アイオワの赤十字の主婦への講演会で料理の講演会と半分は集団決定法とレビンが言ったのですがその講演会で、戦争が長引くことが考えられていてアメリカ政府が「今まで食べていなかった牛の臓物を食べましょう」と言っていますが、世間一般 ではどう考えているとあなたは思いますか?と司会者が聞く。


  あなた個人の意見でなくて、一般の主婦の意見はどう思われますかと言う、非常にうまいですね。あんたどう思いますか?と聞くと責任がついてきますが、世間一般 の人はどう思いますかと聞くと自分が思ってなくても世間ではこうでしょうね、と意見を述べる。


 最後に自分の家族にこうした料理を食べさせますか?と手を挙げてもらう、手を挙げる挙げないそれが自己決定なのですが。報告書には、どれだけの数の手が挙がったかは書いていないのですが。


  たまたまアメリカで当時の実験に関与していた研究者に私がお聞きしたところ「全員が手を挙げた」と。 



 同じような実験は日本でもやられているですが、私も関西学院でもおこないました。宗教総部が献血を学生にお願いしているのですが、その時にこうした実験をおこなったのです。確かに効果 は有るのですが、それをおこなうために要する手間がたいへんでして、コストパフォーマンスから言うと手放しでは喜べないような状況でした。


 こんなことで私が大学入学当初の夢、教育システムを変えていきたい、教育原理の事も忘れてしまって。学部は教育心理学で、指導してくださったのは三隅二不二教授です。卒業論文を書く時になって、三隅二不二先生がアメリカに留学なさって、それで大学院の方に指導を受けながら書いたのですが。


  そこにタイトルだけ書いてありますが「成員の向性と小集団内相互作用の型」。小集団内相互作用、これをはかる方法をロバートディルと言うハーバード大学の方が書いているのですが。三隅二不二教授がアメリカへ留学される前に私に「これを使えよ」とその一冊の本を渡してくれたのですが、大学三年生ですからそれを読みこなすだけでも大変でした。


 協力してくださる学校の生徒に九州大学までの切符を渡して放課後来てもらったのですが、なかなかこれがうまく5人揃ってきてもらえなくて。外向的な子どもたちだけ、内向的子どもたちだけ、そして両方の子どもたちの5人集団に分けて実験したのですが。


  あんな実験は二度とようやらんやろなぁと。グループでやる作業のタイプをふたつに分けまして。 (佐々木先生の講義はまだまだ続きます)

→つづく


©がぼるネットParadiso co.,ltd.2014  大切な佐々木ゼミの歴史です、取り扱いにはご注意を。無断転載を禁じます。 2014年3月27日